曼荼羅のおしえ
─祈りと悟りの造形に学ぶ─

小林暢善

まえがき
 八万四千の法門と言われるいかなる経典も、幾多の仏像や仏画も、その心の原点が菩提樹下における釈尊の成道にある事は言うまでもない。
 釈尊が何を悟られたのか、その悟りの内容を文字や仏像などの造形に託し、祖師、先人達は脈々とその法灯を伝えてきた。釈尊成道後二千数百年を経て、人類普遍の叡智はその様相を変えながらも現代に息づいている。
 曼荼羅は大乗仏教の到達した究極の造形と言われる。様々な仏教美術の中でも、その集大成とも言うべき一大精華である。
 それは仏教の精髄、即ち深遠なる智恵と無限の慈悲に満たされた、祈りと悟りの造形である。
浄土寺副住職 小林暢善
1998年2月3日 星祭り節分会〈護摩祈祷法要〉浄土寺 (撮影 村上宏治)


 目 次 
1. 曼荼羅とは 

2. 真言密教とは 

3. 両界曼荼羅(りょうかいまんだら)
 (1)金胎理智不仁(こんたいりちふに)とは

 (2)胎蔵(界)曼荼羅
     a.胎蔵曼荼羅の構造

     b.各院の特徴と教え

 (3)現図金剛界曼荼羅
     a.金剛界九会(くえ)曼荼羅

     b.成身会の構造(金剛界五仏と五智)

     c.九会の構造と意味

4. 結び 

  [主な参考文献] 




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