(1)曼荼羅の語義 (2)曼荼羅の種類 (3)曼荼羅の構造 (4)曼荼羅の歴史 |
(1)曼荼羅の語義
曼荼羅とはサンスクリット語のmandalaの音写である。通常、本質とか精髄を意味するmandaと、〜を具有するという意味をもつ接尾辞laという語の合成語とされ、本質、精髄をもつもの、つまり仏の悟りそのものを意味する言葉とされている。
曼荼羅の原形は、古代インドにおけるバラモン教やヒンドゥー教の儀礼に見られる。
a.性格上の分類
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(イ) | 大(だい)曼荼羅…仏の尊形によって表現された曼荼羅。大とは本質的なものという意。 |
(ロ) | 三昧耶(さまや)曼荼羅…尊形ではなく、蓮華や法輪など仏を象徴するもの(三昧耶形)によって表現された曼荼羅。 |
(ハ) | 法(ほう)曼荼羅…仏を象徴する文字である梵字によって表現された曼荼羅。種子曼荼羅とも言う。 |
(ニ) | 羯磨(かつま)曼荼羅…羯磨とはカルマ(業)、活動、事業を意味し、仏像、鋳像などの立体仏で表現された曼荼羅。 |
曼荼羅の全体的構造は、四方に東西南北の門をもつ城郭(方形)や仏塔(円形)をモチーフとした構造で、四方の門には門衛にあたる仏尊を置き、曼荼羅の最外周には金剛杵輪(こんごうしょりん)や火炎輪などを描き、仏法の障礙となるものの侵入を拒んでいる。その他、浄菩提心(じょうぼだいしん)や慈悲心を象徴する蓮華、智恵を象徴する月輪などが主なモチーフとなって曼荼羅を構成している。
図絵に描かれた曼荼羅は、掛軸や壁画となっているために平面的で、仏は曼荼羅を観る側に向くように描かれている。しかし曼荼羅は本来立体的、空間的に構成されているもので、仏は全て中心となる中尊に向き、曼荼羅の上下は東西(西東)、左右は北南(南北)を示している。
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チベット系曼荼羅の基本的構造 |
前述のように曼荼羅は、古代インドにおいてバラモン教が行っていたように、土壇を築き、神々を招いて供養するという現世利益的な儀式に用いられていたが、やがて大乗仏教の観仏法(かんぶつほう)を取り入れ、成仏(仏と一体となる瞑想法)をめざす成就法に用いられるようになった。
観仏三昧(かんぶつざんまい)経(5〜6世紀)には仏の観想が説かれ、既に4世紀頃の金光明経(こんこうみょうきょう)には四方に四仏を配する仏国土が説かれている。ここに曼荼羅の中尊と四方の四仏という核が形成される事になる。
6世紀には中尊に釈迦如来が登場し、7世紀中頃には、真理そのものを仏格化した法身仏である大日如来(だいにちにょらい)が中尊となる。胎蔵曼荼羅(たいぞうまんだら)を説く大日経の成立である。
大日経には従来の仏、菩薩は無論の事、ヒンドゥー教の神々も仏法を守護する天部の尊として説かれ、大日如来を中心とする仏、菩薩、明王、天の諸尊の大集合となった。
大日経に少し遅れて成立したとされる金剛頂経も、大日如来を中心とする曼荼羅を説くがそれら仏尊の尊名、尊形は全く趣を異にしている。
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