三、印相
密教の修法と密教像の形姿

 密教は、その教理とともに修法という実践的な儀礼を重視する。教理の理解と厳格な修法(しゅほう)の実践によって郊験(こうけん)を得、悟りに達するのである。修法は秘法とされ、ほとんどのものについては具体的な内容を我々は知ることができない。
 修法とは、特定の本尊を定めて供養物を捧げ、身・口・意の三密行《注1》を通して本尊と同様の境地になり、究極的に本尊と同一となり、種々の願意の実現を祈願することをいう。
 さて、修法の際、修行者が行う仏の身体的表現となる身密行(印相(いんぞう))についてである。修行者は、修法内容を手指のしぐさによる仏の所作をすることによって修していく。身密行の対象となる仏の形姿は重要視され、そのため密教像においては印相や手に持つ持物は重要な意味を担う。当り前のことであるが、それらは実に厳密に規定されている。



HOME 曼荼羅 密教美術
お寺様が大切に守られています文化財です。
無断にて複製すること又、転載する事は侵害なことであります。
転載等の際はあらかじめ当方に必ずご連絡してください。
Copyright by ERM