16歳の女学生のサッチャン達は尾道へ帰る事になった。広島いりして20日後の事でした。帰りは呉線廻りで帰った。汽車の中で誰一人として広島のことは口に出さなかった。
 よく理解が出来ないでいたのでしょう。50数年振り返ってみても覚えていない。
 ある事を除いては、その事は今も強く残っている。

 サッチャン念願の結婚をし、その時を迎えた。元気な男の子ですよ。そして我が子を抱いたとき、あのお母さんの声、顔、子供、そして尾道に帰るとき、子供を抱えて死んでいた親子の話を想いだした。16歳のサッチャン、何故こんなに泣くのか、わからなかった、しかしその時わかった。お母さんになったサッチャン、今でもそのお母さんに心の底から手を合わせている、あの親子を通して、理解することを拒み続けてきたあの日の出来事に心から手を合わせている。
サッチャン1_4


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