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昭和3年 元日、春陽会会員林倭衛の先達で、林重義、ベルリンへ留学する弟英十郎と4名で欧州旅行に出発する。
モンマルトルのリュー・コーランクールの画室つきアパルトマンに落ち着く。
梅原龍三郎の紹介で知人の画家山脇信徳の案内で、5ヶ月間イタリアを旅行し、帰途、セザンヌの故郷南仏のエクス・アン・プロヴァンスに立ち寄る。
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エクス風景(1)(図録より転載) |
※参考 セザンヌの描くエクス風景 |
夏、林倭衛、林重義とともにイギリス旅行のあと、再びエクスへ出発し、翌年4月まで同地に滞在し毎日写生に励んだ。
モンマルトルには長谷川潔がおり、パリには藤田嗣治もいた。
余談であるが、藤田嗣治のポートレートをアンドレ・ケルテスの写真集に見ることができる。
1928年。和作がパリにいた当時のものである。(評伝125、126) |
エクス風景(2)(山口県立美術館所蔵) |
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01−440「カプリ島1」 |
イタリア滞在中に描いた絵が、「カプリ島1(01−440)」 「カプリ島2(01−447)」 「カプリ島3(01−448)」「画室にて(01−445)」「アルルカンに扮するコーカサス人」「アマルフィ風景」「エクス風景(1)」「エクス風景(2)」「バラ咲くカプリ島」などである。
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01−447「カプリ島2」 |
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01−448「カプリ島3」 |
「随筆・ソレント半島とカプリ島」の中でイタリア旅行中に青の洞窟を見た感想を述べている。
「もっと、海岸の奇勝をたくさん持っている日本人などには、あまり感心できず、二度も見にいく人はないだろうと思う。」
この時和作は、海外にありながらはっきりと日本の風景の美しさを意識していた。
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01−445「画室にて」 |
「アルルカンに扮するコーカサス人」 (尾道市立美術館所蔵) |
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「アマルフィ風景」(東京国立近代美術館所蔵) |
「バラ咲くカプリ島」(愛知県美術館所蔵) |
私の絵は根本的にはどうかは知らぬが、構図と色が美しいらしいので、素人の間では評判がよい。しかしナイフでかく絵は色沢はよいが、どこかとげとげしくて、真の落ち着きがないような気がするので、この方法を止めて、セザンヌ流に入念に色をこめていく方法に返りたいと時々思うのだが、ついまた目前の事情に追われて早描きの方法を捨て得ずにいる。(随筆60) |