【 湾 】
目の前に広がる湾は、
全ての音が吸い込まれる、
まるで無音室のような感覚。
瀬戸内生まれの私は、
少しばかり
オジケヅク自分を感じた。
ここが仙の山から
運び出した銀鉱石が
積み込まれた
最古の港かと―――
【 外海の情景 】
静かな海日和でした。
何もかも静か。
神話の国出雲・・・
神々が住む石見・・・
なるほどそう思えます。
島の形・岩の形、
そして海の色。
火山が作り上げた造形美に
心地いい恐怖感と、
神秘という言葉を
身近に感じたのでした。
【 鼻 ぐ り 岩 】
湾を囲む岩肌に
ピアスのような穴が
随所にあります。
牛の鼻輪に似ていることから
鼻ぐり岩と呼びます。
今から500年ほど前の事。
銀鉱石を積み込む船を
係留するための
ロープをかける穴なのです。
荒波を乗り越えての船は
さぞ大きかった事でしょう。
牛につける鼻輪は、
牛の扱いを容易くするため。
船を牛に見立てたのかなぁと
思う私です。
【 鳥 瞰 図 】
鳥の目線で地形を
見てみたかった。
理屈では、知識では
リアス式海岸の特徴は
知ってはいたものの、
やはり目視すると
その迫力と意味は
全く違った。
鳥たちは私たちを、
こんな風に見ているんだ。
この湾に停泊していただろう
イニシエの船を
見た気がした。
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