TOPページへ 気まぐれ日刊情報 村上宏治の東方見聞録

日本の伝統芸能にふれる、その前に 能・狂言を観る基礎知識

  出遭ったのは7年前の宝物館。
  あの妖艶な金箔見て其の時から惚れ込んでしまったのです。
  室町時代の作という其の屏風は姿を見せてくれても、尾道の浄土寺に何百年もの間、
  何故にあるのかの答えは ナカナカ屏風は教えてくれません。
  ソレドコロカ、とことん調べてみたく約2年を過ぎましたが、 調べれば調べるほどに謎が出てきます。
  調べていたらダントツにこんな質問よくされました。
  「源氏物語って好色物でしょ・・・ それが何故お寺に・・・
  それってもしかしたら女人禁制のお寺で・・・ うふふふ・・・ だったりして・・・」


  気分的にはカチンと来たのですが、裏付けがないと反論も出来ないし・・・
  そこでいろんな角度で調べてみました。

日本の伝統芸能にふれる、その前に 能・狂言を観る基礎知識
  般若心経とはそもそも・・・と始まるお経の一説でした。
  気になったのは、法華経60巻と続くところでした。
  源氏物語は元々60帖からなっていたとされていました。 浄土寺のそれも60面。
  何故か60と言う数字が重なったのでもしかして・・・と調べ始めました。
  登場人物は殆ど出家もしくは出家希望をします。
  書いている内容も経典からの引用らしきものが多々みつかります。
  その気になりすぎて、 こじつけの類似かとも悩みましたが昭和初期に出版され、
  すでに絶版となった本が古本屋の上段にありました。
  其の本には的確に論文として掲載されていたのが、女人成仏思想狂言綺語
  それは観音経と法華経 そして天台の教え60巻を基本としていると書かれていました。
  もうこうなったら私の興味は誰も止められない。
日本の伝統芸能にふれる、その前に 能・狂言を観る基礎知識
  様々な資料を整理していく中で、
  1000年も語り続けられるこの文学の根底にあるものを見た気がしました。
  今は胸を張って言えますね、紫式部の綴った源氏物語は、
  好色物ではなく仏教思想に基づいた人の根底に流れる慈愛と悟りの世界
  私は今結論付けました。
  尾道の浄土寺源氏物語絵は今年、 徳川本と同等扱いで徳川美術館で展覧されます。
  来春にはフランスで出版される学術豪華本の源氏に可也の量が掲載されます。
日本の伝統芸能にふれる、その前に 能・狂言を観る基礎知識
  2年間のこの屏風調査でわかってきたのですが、ただ物ではないですよ・・・

  ただ問題が一つ、私は学者でないので個人的主観で綴りました。

  ちなみに好色物としてのイメージが固まったのは、江戸時代に出版された、
  挿絵歌川国貞による合巻本 『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』 でして、
  「 偐紫 」としたのは、作者を偽紫式部とし、
  また"似せ紫"の意も込めて「田舎源氏」としました。
  卑俗、まがい物を意味したその庶民を描いた浮世絵が大ブームになり、
  それが少しずつ形を変えて花町を描いたのが始まりらしいです。

[ページ上部へ]