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国立能楽堂では、毎月、定例公演などが行われています。 能や狂言ってどうも親しみづらいですよね。でもちゃんと知識をつければ、これらがとても面白い伝統芸能であることがわかります。
そこで今回は、能・狂言の基礎知識についてご紹介します。 |
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歌舞伎や能、狂言などは、当時の武家や大衆が親しめる唯一の娯楽。
いずれもすべて演劇なのですが、歌舞伎が大衆演劇だったのに対して、能は武家が楽しむ歌劇。
また主人公のほとんどが幽霊で、すでに完結した物語を演じているのが特徴です。
一方、狂言は、能の合間に演じられる、観客の心をリラックスさせてくれるもの。
今で言うとお笑いの要素を含んだ演劇なんです。
能と狂言を総称して「能楽」。江戸時代には「式学」と呼ばれていたそうです。
今では能と狂言が別々に演じられることも多いようですが、当時はセットになっていることが多く、
このふたつはほぼ同じ頃に発生したそうですよ。
能楽の起源は定かではありませんが、平安時代の「猿楽」から発展したと言われています。
日本史で観阿弥と世阿弥という言葉を聞いたことはありませんか?
この親子が南北朝時代(1392年〜)に能を高度な芸術に発展させ、
わびさびを感じさせる閑寂幽静な美しさ……。
今の幽玄美のベースを作ったそうです。 |
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能の特徴と言えば、やはり能面。
その種類は200以上はあるそうですが、主に老人を表す翁面(おきなめん)や小尉(こじょう)、
男女の面である中将(ちゅうじょう)と小面(こおもて)、
鬼神や怨霊を意味する大飛出(おおとびで)と般若(はんにゃ)の6種類にわけることができます。
この面の種類を理解しているだけでも、誰がどんな役柄なのかを把握することができるはずです。
どんな能面があるのか見てみたい人は、能面のサイトでチェックしてみてください。
さて肝心の演目ですが、
江戸時代に公的な催しの演奏が"翁付五番立(おきなつきごばんだて)"と決定されたので、
能のプログラムは5番立てが基本。
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一番目物-神を主人公とした脇能物や神能(例:高砂、賀茂)
二番目物-武士の亡霊が戦の責め苦を訴える修羅物(例:義経、屋島)
三番目物-主に女性を主人公にした鬘物-かづらもの-(例:井筒、松風)
四番目物-他の分野に属さない曲が集められた雑能(例:隅田川、恋重荷)
五番目物-鬼や天狗などを主人公にした切能や鬼能(例:船弁慶、石橋) |
これらは丸一日や一晩かけて上演されていたそうですが、
さすがに今では5番立てで編成されることはまずありません。
また事前に能の演目(謡曲)を意味を知っていれば、さらに内容が理解しやすくなると思いますよ。
現行演目の全文と現代語訳については、間申楽「能楽の杜」に記載されているので、
興味のある演目は、一度、調べてみてもいいかもしれませんね。 |
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本来は実際に能楽堂などで見てみるのがいいのですが、
まずはどんなものか親しんでみたいという人なら、テレビでチェックしてみてはいかがでしょうか。
NHK教育テレビでは毎週、古典芸能番組を放送しています。
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NHK教育テレビ 日本の伝統芸能
歌舞伎、日本舞踊、能・狂言、文楽をほぼ月代わりで放送。
土曜13:00〜13:30、火曜5:30〜6:00(再放送)
NHK教育テレビ 芸能花舞台
名作といわれる古典芸能を見ることができます。
土曜13:30〜14:15、翌週土曜5:15〜6:00(再放送)、
日曜深夜24:15〜25:00(再々放送)
NHK教育テレビ 芸術劇場
毎月第1・3週に音楽、第2週に演劇、第5週に古典芸能を放送。
日曜22:00〜24:15 |
そのほか、DVDやビデオで見る方法もありますよ。
狂言師・野村万作が選んだ演目を収録した『狂言でござる 野村万作狂言集』は、現在、4巻まで発売。
また、人間国宝の茂山千作を始めとする京都茂山家の舞台の模様を収めた
『京都狂言・茂山千五郎家 唐相撲』なども発売されています。
能・狂言専門の本屋さん「檜書店」で、ビデオやDVDを探してみるのもいいかもしれませんね。
さて、予備知識をつけたら、実際に観劇に出掛けてみましょう。
チケットは能楽堂やプレイガイドで手に入ります。
本来、能・狂言は専用の舞台で演じられるものなので、
能楽堂で行われる公演については、正面席や脇正面席にすると間違いはないと思いますよ。 |